シドニー:オセアニア旅行の始まり
シドニー, オーストラリア
日付変更線を越える長旅から、タロンガ動物園とシドニー・オペラハウスでオセアニア旅行を始めた。
旅
グレート・バリア・リーフとグレート・オーシャン・ロードから、ニュージーランド南島とホビット村まで。オセアニアを巡る旅。
2025年12月12日–26日 · シドニー · ケアンズ · メルボルン · +2 · 5件の記事
シドニー, オーストラリア
日付変更線を越える長旅から、タロンガ動物園とシドニー・オペラハウスでオセアニア旅行を始めた。
ケアンズ, オーストラリア
ヘリコプターからサンゴ礁と熱帯雨林を見下ろし、グレート・バリア・リーフでシュノーケリングと体験ダイビングを楽しんだ。
メルボルン, オーストラリア
ハエだらけのグレート・オーシャン・ロードから、パッフィン・ビリー、コアラ、フィリップ島のペンギン・パレードまで。
クライストチャーチ, ニュージーランド
クライストチャーチを出発し、南島の田園、氷河湖、ルピナスの花畑を巡ってクイーンズタウンへ向かった。
オークランド, ニュージーランド
オークランドでの乗り継ぎ時間を使ってホビット村とワイトモ洞窟を巡り、オセアニア旅行を締めくくった。
日付変更線を越える長旅から、タロンガ動物園とシドニー・オペラハウスでオセアニア旅行を始めた。
今回のオセアニア旅行は、難航する旅程作りから始まった。満たさなければならない条件がいくつもあった。
まずニュージーランド南島では、僕たちは自分で運転するのが面倒だったので、クイーンズタウンとクライストチャーチを結ぶツアーに参加することにした。このツアーは5日に一度しか出ない。これだけで旅程の大枠が決まった。先にニュージーランドへ行って5日前の便に参加するか、先にオーストラリアへ行って後の便に参加するかだ。僕たちはニュージーランドのビザを別に取っておらず、当時僕たちに適用された制度では、オーストラリアのビザを持ってオーストラリアから渡航すればニュージーランドに入国できた。つまり、先にオーストラリアへ行くしかない。これで日程はほぼ固定された。
しかもツアーはクライストチャーチ発。次の問題は、ニュージーランドでは北島と南島のどちらを先に回るかだった。調べてみると、南島からアメリカへ帰る便はどれも北島で乗り継ぐのに、北島からなら直行便がある。なら南島を先にするしかない。
ここまで来て、ようやくオーストラリアのどこからクライストチャーチへ飛べるかを考えられる。オーストラリアで絶対に外せないのはケアンズだった。グレート・バリア・リーフで潜る。これは確定だ。ところがケアンズからクライストチャーチへの直行便はなく、メルボルンかシドニーで乗り継ぐ必要がある。それなら、そこで遊んでいけばいいじゃないか。調べるとメルボルン経由のほうが明らかに安かったので、ひとまずメルボルンを入れた。
では、アメリカからケアンズへはどう行くのか。当然こちらも直行便はなく、やはりシドニーかメルボルンで乗り継ぐ。しかもよく見ると、乗り継ぎ時間がひどすぎて受け入れがたい。それなら乗り継ぎ先でもう一日遊べばいい。シドニー、ケアンズ、メルボルンの順に回る航空券と、その逆順の料金を比べたところ、前者のほうが明らかに安く、時間もまともだった。こうしてこのルートに決まった。
信じられないかもしれないが、最初はメルボルンへ行くつもりなんてまったくなかった。
要するに、こうして旅程は完成した。
2025年12月10日の夜にアメリカを出発し、到着したときにはもう12日。間の11日は、僕の人生からそのまま消えた。
15時間半もかかる超長距離便では、プレミアムエコノミーに乗った。個人的には、プレミアムエコノミーを普通に買う人はたいてい割に合わないと思う。意味があるのはアップグレードのときくらいだ。エコノミーとの差は小さく、リクライニングも大したことがないのに、値段は普通なら2倍以上する。ところが公式サイトでマイル交換を見たら、プレミアムエコノミーが7万ポイント、普通のエコノミーが8万7000ポイントだった。意味がわからない。でも本当にそうだった。
そこでプレミアムエコノミーを取った。座席を選ぶときには最後列しか残っていなかったので、そこにした。そしてハマった。最後列は後ろの壁が近く、リクライニングがさらに制限される。飛行機に乗ったことがある人ならわかると思うが、座席なんてそれほど精密なものではない。公称の角度は公称の角度で、体格のいい人がぐっともたれれば、体感ではさらに10度くらい押し倒せることもある。普通なら体重でもう少し角度を稼げるのに、最後列は壁があるのでそれがまったくできない。かなりつらかった。勉強になった。もう絶対に最後列には座らない。
最終的には、まあまあ休めた。というより、これだけ長ければ休まずにいるほうが難しい。その日の午後は予定通り、シドニーで有名なタロンガ動物園へ行った。動物園の地図はこちら。
動物園では、今日も今日とて『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』状態だった。
それから、ネットで大人気のカピバラもいた。
コアラもいた。コアラ専門の動物園では、このあともっとたくさん見ることになる。
これで一日目は終了。時差を直すため、急いでホテルへ戻って寝た。
次の日は、シドニー・オペラハウスへ行った。
内部ツアーに参加して、オペラハウスの舞台裏をたっぷり見て回った。ガイドから聞いたのは、オペラハウスのいろいろな裏話、建築家一家の愛憎劇、そして世界で唯一オペラハウスに登った人物はトム・クルーズか、それともジャッキー・チェンか、というクイズだった。
そして次の写真が、内部ツアーだからできること。誰もいないコンサートホール、体験版。
見学が終わると、ほかに特にやることもなく、午後には飛行機に乗らなければならなかったので、近くの公園を歩いた。景色はかなりよく、公園からは別の角度でシドニー・オペラハウスを遠くに眺めることもできた。
ヘリコプターからサンゴ礁と熱帯雨林を見下ろし、グレート・バリア・リーフでシュノーケリングと体験ダイビングを楽しんだ。
ケアンズに着いたときには、もう夜だった。ホテルでチェックインを済ませると、そのまま食べ物を探しに外へ出た。さすが南国。通りに並ぶレストランや屋台の雰囲気が、僕には海南島そっくりに見えた。食べる場所の心配はまったくいらない。どこにでも店があり、夜遅くまで開いていて、ナイトマーケットもにぎやかだった。
翌朝起きると、天気はよかった。
この日はヘリコプターでケアンズ周辺を遊覧した。まずグレート・バリア・リーフの内側のサンゴ礁を一回りし、それから内陸の深い熱帯雨林と山々の上を飛んだ。
この日の予定はこれで終わり。あとは海辺と街をのんびり歩いて過ごした。
3日目は、この旅行で一番楽しみにしていたメインイベント、グレート・バリア・リーフでのダイビングだった。シュノーケリングとスキューバダイビングの両方が含まれている。水中で写真を撮るため、前日に街を歩いたとき、透明な完全密封タイプのスマホ防水ケースを買っておいた。これがかなり高い。Amazonで調べると、ネットなら2割くらい安く買えたらしい。でも今さらネット注文はできないし、現地価格が2割増しくらいなら、まあ許容範囲だ。行く予定がある人は、あらかじめ持ってきたほうがいい。
朝早くから、僕たちはわくわくしながら出発した。ツアーには送迎がついていて、車に乗り遅れるのが怖かったので、かなり早めにホテルの下で待っていた。やがて小さな車が来て、近くのマリーナまで送ってくれた。それにしても、ケアンズは本当に小さい。この距離なら、車を待っていた時間で自分たちで歩いたほうが早かった。
船に乗ると、ろくに読みもせず、免責やリスク承諾の書類を何枚もまとめてサインした。僕らにとってはほとんど「何があっても知りません」書類の束だ。笑うしかない。そのあと船で1時間半かけて、最初のポイントへ向かった。
入水!
防水ケースに入れれば、スマホは濡れないし、水中でも操作できると思っていた。考えが甘かった。確かに水は入らない。でも操作もまったくできない。ケースの問題ではなく、水面では普通に使えるのに、水中へ入るとタッチ操作が全部消える。使えるのは本体の物理ボタンだけだった。幸い、そうなる可能性は事前に考えていて、対策も調べてあった。カメラを起動した状態なら、音量ボタンをシャッター代わりにできる。だから水中写真は全部この方法で撮った。
ここで絶対に気をつけなければならないのが、電源ボタンを押さないこと。一度押したら終わりだ。画面がロックされ、タッチ操作ができないので解除不能。パスコードを設定していなくても、ロック画面をスワイプしてカメラへ戻れない。いったん水面へ出て、ロックを解除してから、もう一度潜るしかない。
こうして僕たちは泳ぎながら、音量ボタンをひたすら連打した。グレート・バリア・リーフは本当にきれいで、夢みたいだった。
ここでシュノーケリングをすると、サンゴだけでなく、いろいろな生き物にも会える。特に熱帯魚が多かった。
船に上がってから、僕たちはタオルを忘れたらしいと気づいた。事前案内には「用意していないので持参推奨」と書いてあったのに、忘れた。そもそもこのツアーを予約したのは何か月も前で、それ以来注意事項を一度も見ていなかった。油断した。仕方がないので、古来より伝わる乾燥法――自然乾燥を使うことにした。太平洋のこの天気なら、乾くのはかなり速い。日差しを浴びて海風に吹かれると、体はほぼ一瞬で乾いた。船の上で日当たりのいいデッキチェアを見つけて寝転ぶと、水着もすぐ乾いた。でもタオルは絶対に持ってきたほうがいい。この乾かし方は肌へのダメージが大きすぎる。
僕たちはダイビングライセンスを持っていなかったので、インストラクターに連れていってもらう体験ダイビングだった。このツアーでは10メートル少しまで潜れた。それ以上潜っても、もう海底に着いていたのであまり意味はない。ネットでは10メートルくらいならスマホも大丈夫そうだと読んだが、インストラクターには「壊れるから持っていくな」と言われた。結局、危険を冒すのはやめた。
スキューバでもシュノーケリングでも、船で貸してくれる全身を覆う防護スーツを着たほうがいいらしい。有毒なクラゲに刺されるのを防ぐためだと聞いた。でも僕たちはそれを知らず、スーツはスキューバのときだけ着るものだと思い、シュノーケリングではまったく着なかった。船の上で大勢が着替えているのを見て、「こんなにダイビングする人がいるの?」と不思議に思っていた。実際はみんなシュノーケリングだった。そしていざ僕がダイビングするときも、まだスーツを着ていないうちにインストラクターがタンクを背負わせてしまい、着る機会を失った。幸いクラゲには刺されなかった。ただ、泳ぎがあまりにも下手で、海底の岩礁に膝をうっかりこすり、皮がむけた。船へ戻ると、感染が怖くて消毒薬をあれこれ塗りまくった。つまり、このスーツは絶対に着たほうがいい!
午後にマリーナへ戻ると、専用の送迎車がホテルまで送ってくれるが、30分待ちだと言われた。ではさようなら。僕たちはそのまま歩いて帰った。朝の経験で学んでいる。この待ち時間があれば、ホテルまで二往復できる。
4日目は日帰りツアーに参加し、ケアンズ周辺のいくつかの観光地を回った。
カーテン・フィグ・ツリー(Curtain Fig Tree)。
ミラミラ滝(Millaa Millaa Falls)。
そして、宮崎駿の『天空の城ラピュタ』のモデルになったとも言われているパロネラ・パーク。
これでケアンズの旅程はすべて終了した。
ハエだらけのグレート・オーシャン・ロードから、パッフィン・ビリー、コアラ、フィリップ島のペンギン・パレードまで。
メルボルン初日は、まずグレート・オーシャン・ロードへ行った。ここで絶対に触れておきたい。グレート・オーシャン・ロードで一番印象に残り、一生忘れられそうにない動物――ハエだ。とにかくそこら中がハエだらけで、逃げようがない。道を歩きながら適当に手を振れば、数匹には確実に当たる。普通、ハエみたいな小さな虫は屋外で3メートルも離れれば見つけるほうが難しいはずだ。でもここでは、いくらでも見つかる。マスクをしている人も多かった。口を開けて話すのは非常に危険な行為で、少し油断すると新鮮なタンパク質を補給することになるからだ。
グレート・オーシャン・ロードのどれくらいの区間でこの問題があるのかは知らない。でも僕が行った観光地は全部こうだった。原因はたぶん、海辺の湿った環境でハエが増えやすいうえに、誰も特に対策していないから、ここまでの状態になったんじゃないかと思う。以前、サンフランシスコ近くのアルカトラズ島でも似た経験をしたが、体感ではここのほうがさらにひどかった。来るならマスクがおすすめだ。虫よけスプレーはあまり役に立たない気がする。数が多すぎて全部は防げないし、命知らずの一匹や二匹は必ず突っ込んでくる。歩くときも気をつけたほうがいい。眼鏡をしていなければ、ハエが目に直接飛び込んでくる可能性もある。実際、僕の眼鏡には一匹が正面衝突した。
この最悪すぎるユーザー体験を横に置けば、グレート・オーシャン・ロードの景色はかなりよかった。
最初に着いたのは、トゥエルブ・アポストルズ(Twelve Apostles)。ここの写真は中国の人民教育出版社版の英語教科書の表紙に使われている。そのため、片手に英語の教科書、もう片方にカメラを持ち、表紙と背景の景色を重ねて撮っている観光客をよく見かける。結果は――本当にまったく同じだった! 僕が一番気になったのは、みんなどこでその教科書を手に入れたのかということだ。まさか中国からずっと背負ってきたわけではないだろう。でも小紅書の攻略を見てから来たのなら、本当に持ってきた可能性はある。
グレート・オーシャン・ロード沿いの海岸風景は確かによかった。でも今この写真を見ると、「いかにもハエが増えそうな環境だな……」としか思えない。
途中で適当にレストランへ入った。その店先で、たまたま元気な鳥たちにも会った。人をまったく怖がっていない。もう完全に慣れているのだろう。
その次はスプリット・ポイント灯台(Split Point Lighthouse)へ行った。ただ、観光シーズンで人が多すぎるため閉鎖されたと聞き、中には入れなかった。仕方なく遠くから写真だけ撮った。
そして旅が終わりかけたころ、旅の始まりに到着した。つまり僕たち、グレート・オーシャン・ロードを最初から最後まで逆向きに回っていたのか?
これで初日の旅は終了。ホテルへ戻ってすぐにシャワーを浴びた。一日中ハエの中で着ていた服なんて、もう二度と着られる気がしない……。
2日目は、まずパッフィン・ビリー鉄道(Puffing Billy Railway)に乗った。この蒸気機関車もメルボルンの有名な観光スポットだ。何と言えばいいのか。現代の交通手段として見れば、ボロくて遅くて、日常的に使いたい人はほとんどいないと思う。でも歴史ある観光列車としては、古ければ古いほど価値が上がるということなのか?
乗車体験はかなりよかった。上の写真のように、僕たちが乗ったときは車両の縁に腰かけ、柵の間から脚を外へ出すことができた。ただし当然、各車両でそこに座れる人数は限られていて、半分くらいの人は車内の席に座るしかない。縁に座れるかどうかは、乗車したタイミングか、あとで誰かが譲ってくれるかにかかっている。僕たちの車両はみんなマナーがよく、出発から到着まで1時間以上ずっと同じ場所を独占して、誰にも譲らない人はいなかった。
その次は、マル・コアラ&アニマル・パーク(Maru Koala and Animal Park)へ行った。名前の通り、コアラを間近で観察できるのが特徴だ。木にだらっとぶら下がっているのを見ると、やっぱり木の上の怠け者じゃないか、という疑惑が完全に確定した。
この動物園には、ほかの動物もたくさんいた。クジャクが羽を広げているところにも出会った。一緒にいた人によると、何度も見たことがあるのに、見るたびにまた撮りたくなるらしい。
この動物園には、オーストラリア名物のボクサー、つまりカンガルーも大量にいた。しかも何種類かいる。
大きいのと小さいのを一緒の画面に収めるのも、なかなか簡単ではない。
夜は、フィリップ島のペンギン・パレード(Phillip Island Penguin Parade)を見に行った。「辺り一面」の小さなペンギンたちが、海から陸へ向かって走ってくる。ここで「辺り一面」にカギ括弧をつけたのは、数は多いが、さすがにそこまで大げさではなかったからだ。何しろ僕は南極で、本当の意味で辺り一面がペンギンという光景を見ている。あれと比べれば、こちらは規模がまるで違う。ツアーのほかの人たちは大興奮だった。おそらく野生のペンギンを見るのが初めてだったのだろう。僕の反応が少し薄かったのは仕方ない。なんせ本物の大波も大群も、もう見てしまっている。
下の写真は、昼間に近くで撮ったものだ。夜に本当に帰ってくる時間は暗すぎて、写真がまともに写らなかった。当然フラッシュは禁止なので、何もきれいに撮れず、ここには載せない。
これでメルボルンの旅は無事に終了した。
クライストチャーチを出発し、南島の田園、氷河湖、ルピナスの花畑を巡ってクイーンズタウンへ向かった。
ニュージーランド南島の旅は、クライストチャーチから始まった。このツアーは本当に行き先が読めない。自分で運転するのが面倒だったので、数日間のツアーに申し込んだ。ガイドが見せてくれるものを、そのまま見る。運転しなくていいから、移動中もずっと景色を楽しめる。それにこのガイドは観光スポットにかなり詳しく、よく僕たちを妙に奥まった場所にある人気の撮影スポットまで連れていってくれた。
まず市内で、クライストチャーチ大聖堂を見学した。
次は植物園。中の庭園はなかなか個性的だった。
そのあとクライストチャーチを離れ、山と森の奥へ向かった。車が進むほど、ニュージーランド南島の田園風景がどんどん本気を出してくる。言葉では説明しにくいので、写真を見ながら各自で詩でも脳内再生してほしい。
夜は小さな町で一枚撮った。とりあえず、ここまで来た記念だ。
この夜は星空観察ツアーにも参加した。出発は夜11時、戻ってきたのは午前1時だった。南半球の星空は北半球と違う。僕の星座知識では何がどう違うのか判別できそうにないが、南半球の星のほうが少し明るく感じた。
ガイドによると、南半球で星が多く見える主な理由は、天の川銀河の中心方向が南の空にあり、そこは星が最も密集していて、天の川も最も明るいからだという。だから普通の人にとっては、南半球のほうが星空観察に向いているらしい。この夜はちょうど快晴で、運がとてもよかった。前日は一晩中厚い雲に覆われ、星空観察ツアーは全員返金になったそうだ。
その夜の星空がこちら。星空ツアーのガイドが一眼レフで撮った写真だ。僕のスマホにそんな能力があるはずもない。この写真は毎日違う。というより、一瞬ごとに違う。星空そのものはほとんど変わらないが、流れ星がかなり頻繁に現れ、空のどこかへランダムにスポーンする。だから撮る瞬間が変われば、写真も毎回変わる。
翌日も、山奥と田園風景を巡る一日が続いた。氷河を飛行機で上空から眺めるツアーの出発地にも寄ったが、僕たちは申し込まなかった。以前アラスカで、ヘリコプターから氷河を見たことがある。そのときは氷河の上に直接着陸までした。だから今回は、まあいいかということになった。
その代わり、あとでマウント・クックの氷河湖クルーズに参加した。湖をボートで進み、氷河を見るツアーだ。50年以上前、現在のタスマン湖はほぼすべて氷河だった。今も氷河の末端は急速に後退し続けていて、平均で年100メートル以上とも言われている。タスマン氷河はニュージーランド最長の氷河だが、この傾向が続けば、僕たちの世代のうちに、巨大な谷氷河から山の上に残るわずかな氷へと縮んでしまう姿を見ることになるかもしれない。
写真に写っているのが、この氷河湖ツアーの出発地点だ。50年前はここも氷河だったのに、今では影も形もない。氷河が溶けることについて、僕は完全に悲観している。ヨーロッパの人たちにエアコンを使わせないことはできるかもしれない。カリフォルニアの人たちにガソリン車を買わせないこともできるかもしれない。でも巨大IT企業がAIデータセンターを建てるのを、どうやって止めるのか。人類文明が前へ進むのを、どうやって止めるのか。あれが使うエネルギーは、これまでのものとは比べものにならないほど大きい。
地球温暖化を防ぐために人類の進歩を邪魔したい、という意味ではまったくない。僕はずっと、技術発展が生んだ問題は、さらに技術を発展させることでしか解決できないと思っている。歴史を逆戻りさせるようなやり方は選ぶべきではない。ただ、こういう自然の風景については、見られるうちに見ておこう、としか言えない。
その後の2日間も、ガイドはいろいろな場所へ連れていってくれた。
まずは一面に広がるルピナスの花畑。本当に辺り一帯が花だらけだった。
近づいて初めて、ルピナスがマメ科の植物だと気づいた。花が散ったあとは、本当に毛の生えたさやがいくつもできていた。
そのあとガイドは、いくつもの「有名な」SNS映えスポットへ連れていってくれた。カギ括弧をつけたのは、僕自身は一つも知らなかったからだ。ただ、小紅書ではかなり人気らしい。山の中にあるこのバンジージャンプ場にも行った。場所は最高で、山があり、水があり、そして飛び降りる崖がある。宣伝では世界初の商業バンジージャンプ場だという。本当かどうかは知らないが、少なくとも宣伝にはそう書いてあった。その場では少し迷った。以前にもバンジーをしたことがあるので、ここで飛んでも初体験にはならないし、今回はやめておいた。でもあとになって少し後悔した。飛んでおけばよかった。この場所なら、成功しても縁起のいい場所だし、失敗したらもっと長くお世話になる最高の場所だ。
それから、この「孤独な木」も見た。この人気スポットの名前が、そのまま「孤独な木」だ。写真の通り、一本の木が水の中にぽつんと立っている。木がネットで有名になるのは意外と簡単らしい。群れから抜ければいいだけだ。
二色に分かれて見える湖という不思議な景色もあり、そのほかにも美しい田園風景が続いた。
こうして4日間の旅を終え、僕たちはついにクイーンズタウンへ到着した。ニュージーランド南島の旅は、これで無事に完結した。
オークランドでの乗り継ぎ時間を使ってホビット村とワイトモ洞窟を巡り、オセアニア旅行を締めくくった。
今回のオセアニア旅行の最後の目的地として、ニュージーランド北島へやってきた。正直に言うと、最初はニュージーランドの田園風景を楽しめればよく、南島だけで十分だと思っていた。ところが南島からアメリカへ帰る便は、どうやっても北島で乗り継ぐ必要があり、その待ち時間も何とも言えないほどひどい。なら、せっかく来るのだから……。
北島には何があるのかネットで調べると、ホビット村を見つけた。『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズの複数の映画で撮影に使われた場所で、かなり見に行く価値がありそうだった。
僕は『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズも、あとから公開された『ホビット』シリーズも、映画は全部見ている。ただし熱狂的なファンではないので、映画の有名な場面もかなり忘れていた。でも問題ない。映画を見ていなくても、この村自体が十分に個性的で、訪れる価値がある。
入口でまず目に入ったのは、等身大のガンダルフ。入場を待っている人の多くが、一緒に記念写真を撮っていた。
ここでは複数の言語でガイドツアーが用意されていた。英語ツアーは明らかに本数が多く、ほぼいつ予約しても参加できる。一方、それ以外の言語は少し難しい。特に中国語ツアーは参加者が多いのに本数が少なく、かなり予約しにくかった。それでも僕たちは何とか取れた。もし英語ツアーしか選べず、ガイドが映画のネタを話し始めたら、言葉は聞き取れても元ネタがわからず、僕たちは二人でぽかんとしていたはずだ。
村へ入ると、まず看板が迎えてくれた。
そして村の中へ。ここでは、いろいろな妙なポーズで写真を撮っている人をよく見かける。何でもない小道で、いきなり思いきりジャンプしてみたりする。どう考えても映画の場面を再現しているのだろう。
かなり完成度の高い観光地だった。ただ、僕のスマホは完全に圏外で、現地のWi-Fiにつなぐしかなかった。位置情報つきのWeChatモーメンツ投稿が、危うくホビット村から出られなくなるところだった。
そのあと、ワイトモ・グローワーム洞窟にも行った。ガイドが操る小さなボートに乗って洞窟へ入ると、見上げた岩の天井がグローワームの光で埋め尽くされていた。かなり新鮮な体験だった。ただし写真はというと……光が小さすぎて、夜空をそのまま撮ったのと大して変わらない。とても見せられる出来ではなかったので、ここには載せない。ちなみに、このグローワームは、僕たちが普段「ホタル」と聞いて想像するホタルとは別物で、光を放つ昆虫の幼虫だ。
これで、オークランドでの乗り継ぎ時間を使って組んだ一日観光も終了した。そして今回のオセアニア旅行も、これですべて終わった。