ヘリで氷河へひとっ飛び

ちょっと残念だった動物園から一転、ヘリでクニック氷河に降り立った。

何年かぶりに、アンカレッジへ戻ってきた。

前にここでやったことといえば、一番の目玉はアラスカ動物園だった。今回はクニック氷河を見に行くツアーも予約したので、アンカレッジでの楽しみが一つ増えた。

さて、そのアラスカ動物園。今回も行ってみたのだが、ここはどうも当たり外れが大きいらしい。前回来てからの間に資金難にでもなったのか、ずいぶん物足りなく感じた。まあ、単にこの日の運が悪かっただけかもしれない。

初めて来た時は、かなり衝撃的だった。オオカミの群れがいて、僕が遠吠えをまねしたら、群れ全体の大合唱が始まった。

で、今回は。オオカミは?

楽しみにしながら園内をぐるっと探して回ったのに、あのオオカミの囲いが見つからない。というか、一頭も見ていない。残念すぎる。

前は雪の上で餌を探しているトラも見た。で、僕のトラは?

ガラスの向こうのホッキョクグマも、今回はどうにもやる気が感じられなかった。前はあちこち登ったり動き回ったりしていたのに、今回は地面にべたっと寝そべったまま、ぴくりとも動かない。単にそのクマがのんびりしたい日だったのかもしれない。でも、オオカミも見当たらない、トラも見当たらない、おまけにクマのやる気まで見当たらないとなると、この動物園、どうしたんだろうと思ってしまう。

今、おすすめするかと聞かれたら、僕はしない。今回はほとんど何も見られなかったような気分で、残念だった。

続いて、予約していたクニック氷河のツアーへ。クニック氷河はアンカレッジの北東、チュガッチ山脈にあり、この辺りの大きな氷河の中ではヘリツアーで比較的アクセスしやすい場所の一つだ。ヘリで氷河のエリアまで飛び、そのまま氷河の上に着陸。降りたらすぐに見て回れる。時間の節約にはなる。お金の節約には、まったくならない。とにかく高かった。

でも、体験はすごくよかった。やっぱり、これだけお金を出すとサービスもしっかりしている。

近くには氷の洞窟がいくつもあった。足元はめちゃくちゃ滑る。

さっそく中へ。

この辺りを30分ほど見て回り、またヘリに乗って戻った。

アンカレッジ滞在はあっという間に終了。次はオーロラを見に、フェアバンクスへ向かう。

オーロラを待ちわびて

昼は犬ぞり、夜はオーロラ待ち。フェアバンクスで、ついに空が光った。

またフェアバンクスにやって来た。飛行機を降りたら、そのまま温泉ホテルへ直行。

前にここで泊まった時の反省を生かして、今回は一泊だけにした。ネットは遅いし、携帯も圏外。何泊もしていたら、後半は何をすればいいのか分からなくなる。ところが今回来てみると、何年も前と比べて通信環境がものすごく改善していた。

Wi-Fiが、ちゃんと使える!前に来た時は、つながっているという表示にほぼ意味がなかったのに、今回は本当にネットが使える。ちょっと意外だった。

ここには一泊した。天気が悪くて、オーロラは見えなかった。というか、空すら見えなかった。

温泉は前の時ほど楽しめなかった。主な理由は、寒さが足りなかったからだ。今回は夜でもマイナス20度くらいしかない。フェアバンクスの山奥にしては暑すぎる。僕が前に来た二回は、どちらも夜はマイナス40度だった。

おかげで、前に来た時に僕がやったスーパーサイヤ人の髪型も再現できなかった。前回はマイナス40度で、温泉のお湯を髪にかけるとすぐ凍って、そのまま髪型が固定された。

でも、マイナス20度ではまだ暑い。お湯が冷えるのが遅くて、手で髪型を押さえておかないといけない。水面より上も十分には冷えず、手を離すと髪型が崩れてしまう。

残念、変身失敗。

その後の数日間は、昼にいろいろなアクティビティに参加し、夜はオーロラが見えそうな場所へ出かけた。

まずは個人経営のトナカイ牧場へ。角、でかっ!

聞いた話では、ここのトナカイにはけんか好きな個体がいて、ほかのトナカイを傷つけないように角を切ってあるらしい。切らなくても、ぶつかり合って自分で折ってしまうのだとか。

犬ぞりのツアーにも参加した。ちゃんと長い距離を走る、本格的な犬ぞりだ。犬一匹と板一枚を渡されて、ちょっと引っ張ってもらったら終了、というものではない。来る前に犬ぞりとスノーモービルで迷ったが、最終的には犬ぞりにした。特に深い理由はなく、そっちのほうが珍しい体験になりそうだったからだと思う。

ここも相変わらず、周りには何もなく、携帯の電波もほとんど入らない場所だった。

この数日、車で行く先は大体こんな感じだ。というより、フェアバンクスの自然の中で遊ぶとなると、大体こうなる。ここでも4WDのSUVが存在感を見せつけてきた。

到着すると、スタッフに服装を見られた。ダウンジャケットに防寒のズボンと靴。こちらとしては着込んでいるつもりなのに、向こうからすると薄着らしい。このツアーはものすごく寒いから、もっと防寒が必要だと言う。全員、ズボンの上からさらに大きな防寒ズボンをはき、靴の上にも大きな防寒・防水のオーバーブーツを装着。帽子まで配られた。かくして、僕たちは重装甲の戦車になった。

犬ぞりには、まず犬が必要だ。というわけで、最初は犬たちの飼育場所へ。

犬だらけ!しかも元気すぎる!そしてここ、屋外である。

アラスカのそり犬はすごい。この日はまだマイナス20度くらいだったが、以前の経験からすると、マイナス40度かそれ以下にもなる。それでも外で暮らせるとは。こちらは戦車みたいに着込んでいるのに、向こうは犬のままで平気らしい。

犬たちに引かれて、そりで山奥の森をぐるっと回った。何キロも走ったと思う。ずっとこんな景色だった。

その夜は空が晴れていて雲もなかったので、オーロラを見に出かけることにした。その日のオーロラの強さを予測するサイトがある。信じるかどうかはお好みで。ただ、このサイトは高い数値をなかなか出してくれない。まるで出し惜しみで、よほど強いオーロラでない限り、いつも「弱い」。間違ってはいないのだろうけれど、「弱い」と言われるたびに出かけるのをやめていたら、たぶん永遠に見られない。弱いのが通常運転なのだから。

夜10時過ぎに展望スポットへ着いた。すでに車は結構あって、人もそこそこいた。「そこそこ」なのは、ここが普通の野外の展望スポットで、ツアー客が集まるような施設ではないからだ。最後まで人で埋め尽くされることはなく、なかなか快適だった。

予測サイトは何日も続けて高い数値を出し惜しみしている。僕が以前アラスカに来た時の経験からしても、今回も最後まで弱いオーロラばかりという可能性は十分あった。もういい。予測はともかく、見に行って粘ろう。

夜10時頃から深夜1時まで待っていたら、本当に見られた!11時頃、オーロラが少し勢いを増したのだ。10時の時点では雲が出ていて、一時はかなり怪しかった。でも、その後は少しずつ雲が流れ、晴れた空が見えてきた。

その夜の小さな盛り上がりは、30分ほど続いた。肉眼でもはっきり見えて、普通のスマホでも写真に写るくらいだった。

マジックリアリズムと印象派を融合させたような写真になっているが、そこは気にしないでほしい。スマホでこれだけ撮れれば上出来だと思う。写真からも分かる通り、この夜は空が明るく光っていた。

大満足でホテルへ戻り、眠りについた。

旅の締めくくりは、フェアバンクスからアンカレッジへ向かうAurora Winter Train。雪景色の中を走る列車だ。

景色のいい場所で観光列車に乗るのも、すっかり恒例になってきた。この路線も本当に眺めがよかった。こういう山奥の風景を列車以外で見ようと思ったら、自分たちで車を運転することになる。それはさすがに面倒だ。

見どころもたっぷり。

その夜、アンカレッジの駅に到着。そのまま空港へ直行して、帰路についた。

今回のアラスカ旅行も、これで大満足の締めくくりとなった。